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■一人肥後旅情 (山よさらば・・第三章)
・・一人肥後旅情第三章・・・

朝、車中で目覚めたオレが、まず思ったのは猛烈に寒い・・。
時刻は朝5時、、そう山の朝は寒い。
しかし、ここで暖房をつけてしまっては、せっかくの大自然が台無しだ。
まだ日が昇っておらず、辺りは薄暗かったが、大自然を体全体で感じる為に、
オレは川へ降りた。

まじで寒い・・ガチガチ震えながら空を見上げると、だんだん日が差してきた。
オレは日のあたる場所へ移動してハッとした。。
日の光とはなんと暖かいんだ・・太陽の暖かさを実感し、
朝一から大自然を味わったオレは、このいい感じの渓流を後にし、
更なるいい感じスポットを求めて適当に車を走らせた。

しばらく走ると「ダム」に行き着いた。
湖面に映る美しい木々の新緑は、オレのイマジネーションを激しく刺激した。
素早く車のトランクから、マイギターを取り出し(いつも車に積んでいた)即興でダムに歌を捧げた。
タイトルは「名も知らぬダムの歌」だ。
・・ふぅ・・いい仕事をした。
うん、この旅は「いい感じのスポットに歌を捧げる旅」にしよう。
そう決めたオレは次なるいい感じスポットを目指した。

次に見つけたのは、広々とした段々畑で、その圧倒的な大自然に囲まれた
雄大な畑はオレの足を止めさせた。
車を降り、畑に歌を捧げようとギターを手にし、ふと見上げると遠くに人影が見えた。
どうやらこの畑の持ち主であろう、老婆がこっちへやってくる。
老婆はオレの前まで来ると、軽くおじぎをして、

婆:『どこから来なさった?コレば食べんね』

そう言って「おむすび」を差し出した。
おお・・・いい人だ、、畑でギターを抱えているこの怪しいオレに対して、
なんという優しい心の持ち主だろうか。。
オレは、ギター片手に福岡からやって来て、ぶらり一人旅中だという事、
いい景色に歌を捧げて行脚しているんだ、といった事を話した。

婆:『ふ・・!福岡から!?ありゃまぁ~・・ご苦労さまで』

老婆のリアクションは「福岡」というフレーズで驚き過ぎだったが、
まあこんな田舎なら、確かに他県からやってくる人はあまりいないかもしれない。

そして二人でおむすびを食べながら、話しているとこの土地は
五月村』という場所だという事が分かった。
オレはおむすびのお礼に、この老婆と畑に歌を捧げた。
タイトルは「お婆ちゃんのおむすび・・美味しかったよ」だ。
歌い終わると老婆は、「たいしたもんだ」だか「なんまいだー」だか
「ありがたや」みたいな事を言いながら、満面の笑みでオレを送り出してくれた。
ありがとうお婆ちゃん!
オレは老婆に手を振りその場を後にした。。

この日は予定の最終日だったし、老婆との素敵な出会いに
心温まり満足したオレは、この気持ちを胸に帰路につく事にした。

しかし、ここまでかなり適当に走ってきたせいで、
帰りは道に迷いまくって結局、家まで6時間程かかってしまったが、
これもまあ、いい思い出のひとつさ。。

と、このようにしてオレの「一人肥後旅情」は幕を閉じた。
九死に一生だったり、圧倒的な大自然、そして思わぬ出会い、、
それら全てがオレをまた一回り成長させた事は言うまでもない。

オレはこの旅の思い出を一生忘れないだろう。。

『 一人肥後旅情:完 』




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